2020年08月09日

みっくんの自転車2

俺は先輩(ミッくんの母親)にお願いを申し出る。



今から暗くなるまでミッくんを借りて一緒に自転車を探しに行きたいと申し出た。



先輩は今から夜の仕事。




あと少しするとミッくんのお婆ちゃんが家に来るので、家にミッくんがいないとお婆ちゃんが心配するおそれがあるので俺と一緒にいることを連絡しておくとのこと。



了解を得た。




こうなれば即行動。





しかし2人では行動範囲も限られてしまう。




そう思った俺はパチンコ屋にいるであろう仲間のウス、ラバ、カー(仮名)の3人に連絡を入れる。




とにかく奴らが出るまで電話をかける。 





やはり全員パチンコ屋にいた





ウス、ラバ、カーの3人とクー、ズー(仮名)の2人もパチンコ屋にいたので理由を話し、一緒に来いと頼んだ。









数分後、軽自動車1台に乗り、すし詰め状態でやって来たアホども



今から暗くなるまで一緒に探して欲しいと頼む。



集まった全員、ミッくんのことは知っている。



その中でも特にウスとカーはミッくんのことを他の連中よりよく知っているので見つかるまで探すと張り切っていた。




ラバが叫ぶ




『盗んだ野郎を見つけたら生かして連れて来ようなんて考えるな!その場で病院送りにしてしまえ!』





ウス、カー、クー

『おう、やっちまおう!』





ズー

『まあ、とにかく落ち着いて探そうぜ







やけに穏やかなズー


だが他の連中は妙に殺気立っている








ズーを除く全員、パチンコで相当負けたんだろう







そんな気がしてならなかった… 









とりあえず自転車の特徴や色などを聞いた俺達はそれらしき自転車を見つけたらスグに連絡を入れる約束をして各方面へ移動する。





ウスはミッくんと一緒に行動



1時間が経過


それらしき自転車を見かける度に連絡を入れ、 ウスとミッくんが車でやって来て確認するがミッくんの自転車はその中にはなかった。






やがて日も沈み、辺りは暗くなってきた。

ミッくんのお婆ちゃんが心配するとイケないのでミッくんを家まで送る。俺達に御礼を言って家に帰るミッくん口元は笑顔だったが目は少し寂しそうだった。





ミッくんが帰った後も俺達は自転車を探したが、それらしい自転車は見つからなかった






諦めかけた頃、ウスが俺達に話した。




実はミッくん、父親に虐待されていたらしい。







それでもミッくんは父親のことが好きでウスの子供に時々、父親の自慢をしていたらしい。








でもミッくんは俺達みたいに腐らずに真っ直ぐに頑張ってる。





遥か年上の俺達がミッくんに教えられている気がした。





疲れもピークに達していたが、そんな愚痴は誰もこぼさず探したが結局、自転車は見つからなかった




夜が明けた






今日、俺はズーと一緒にズーの知り合いの家に置いてあった使っていない自転車をミッくんの家に届けた。





ミッくんの自転車が見つかるまでの期限付きで貸し出す為に届けた。





ボロな自転車だったけどミッくんは喜んでくれた。






1日でも早くミッくんの自転車が見つかることを祈りながら俺達はミッくんに手を振って帰った。





自転車を盗んだヤツに俺は何も思わない。





でも少しでも罪悪感があるなら1日でも早く元の場所へ返してほしい。





盗んだヤツにはただの自転車かもしれない。




でもミッくんにとっては父親から最後にもらった小遣いで買った大切な自転車。



たった1台の自転車から始まった話だけど、俺はミッくんから人として大切なことを思い出させてもらった気がする。

posted by けつげしげる at 18:00| Comment(0) | 日記

みっくんの自転車1

随分前の、ある日の夕方。


食料品などの買い物を済ませた後、タバコを買いにコンビニへ。


タバコを買う前に雑誌コーナーで立ち読みをする。


エロ本コーナーの雑誌を立ち読みしたいが、ここは地元のコンビニ


誰が見てるかわかりゃしねぇ


しかもご丁寧に成人向け雑誌にはテープが貼ってある。


エロ本の横にある読みたくもない一般雑誌を持ってエロ本のタイトルをチラ見する俺


チラ見のし過ぎで目が疲れた俺は店内を物色


店内で知り合いの子供が買い物をしていた。


エロ本買わなくて正解だったと一安心… 


ホッとした顔で知り合いの子供に声をかける。



名前はミッくん


確か小学5年か6年生



両親とも俺の知り合いで父親も母親も俺の先輩だが、2人とも数年前に離婚して今は母親と2人で暮らしている。





このミッくんの父親がとんでもないヤツで遊びで作った巨額の借金を抱えたまま他の女と何処かへ消えてしまった。



そんな父親を持つミッくんであるが、父親には全く似ていない礼儀正しい子供。



俺が声をかけるとミッくんはいつもと違う様子




なんか覇気がない





歩く姿もトボトボしている。






なんとなく気になったがタバコを買って店を出て車に乗る。



しばらくするとミッくんも店を出てきた。






うつむいてトボトボ歩いている。




やっぱり気になる






恋わずらいか?




マセたガキめ






そんな話ならこの俺様にまかせなさい。

恋愛下手で有名だけどな

『元気ねぇなぁ、どうした?』


『なんでも




そう言うとミッくんはトボトボと歩いて行った。



この時、俺はあることに気づく



いつもなら自転車に乗ってるはずなのに今日は何故か徒歩のミッくん


『自転車じゃないのか?』



そう聞くとミッくんはうなだれた顔で答えた



『昨日ね誰かに盗まれちゃった


よほどショックだったのだろう



自転車が盗まれた。



よく聞く話である。




それでコンビニまで徒歩で買い物に来ていたのか


かわいそうに思った俺はミッくんを車に乗せて家まで送ることにした。




家からコンビニまでの距離は約2キロ


ミッくんの家に着くと母親が家の前まで出てきた。


挨拶をする俺『さっきミッくんから聞いたけど自転車盗まれちゃったらしいっすね 





そう言うと先輩であるミッくんの母親が困った顔で言った。


『あの子必死になって買った自転車だったから





先輩(母親)からある事を聞く



離婚後、ミッくんの母親は昼も夜も働きながらミッくんを育てている。


そんな家庭状況を小さいなりに把握したミッくんは両親が離婚してから一度も母親に物をねだったことがないらしい。






ある日のこと


蒸発したミッくんの父親から突然連絡が入り、ミッくんに会わせて欲しいと言ってきた。



お父さんに会いたいと言っていたミッくん


母親はしぶしぶ承諾する。






父親と久しぶりの食事をしたミッくんは帰りがけに父親から1万円を貰う。


帰宅後『お母さん、これで何か買って』と言って父親から貰った1万円を渡すミッくん




しかし母親はそのお金は受け取らず、ミッくんが一番欲しい物を自分でよく考えて買いなさいと言って渡した。





ミッくんが一番欲しい物


自転車




しかし、ミッくんの欲しい自転車は1万円では買えない。




それからミッくんは自転車を買う為に小遣いは全て貯金。





小学校1年生の頃から乗っている自転車は成長と共に小さくなっていく。






学年が上がるにつれ、同級生から小さい自転車だと面白半分にからかわれても我慢しているミッくんを見かねた母親が少し出すから買いなさいと言っても母親に気をつかい、自分で買うから大丈夫だよと言っていたらしい。




約二年頑張って貯めたお金で今年の春にミッくんは自転車を買った。





中学生になっても乗れるようにと少し大きい自転車を自分のお金で買ったミッくん。






そんな二年の努力の結果を心ない人間が奪っていった。





買ってからまだ2カ月ちょっと





そりゃあショックも大きいだろう





この話を聞いて、このまま黙って帰ったら後悔しそうだったので俺は先輩にあるお願いをする。

posted by けつげしげる at 17:29| Comment(0) | 日記